積水ハウスが地面師にまんまと引っかかった!!

「所有者を装い虚偽の登記申請をしたとする偽造有印私文書行使などの容疑で15人を逮捕していたが、このうち10月に最初に逮捕した8人を今回初めて詐欺容疑で立件し、事件の全容解明をさらに進める。
捜査関係者によると、逮捕容疑は他の容疑者らと共謀して昨年3月下旬~6月上旬、偽造のパスポートを使い、東京都品川区西五反田2丁目の廃業した旅館の所有者になりすまして積水ハウスと土地建物の売買契約を結び、代金63億円を詐取したというもの。」

こんなニュース記事に聞覚えがありますよね・・・!!

でも、不動産会社だけが地面師に騙されるわけではないのですよ!
今回は、大手不動産会社が自己資金で代金を支払いましたが、不動産会社が物件を仕入れる時に金融機関からお金を調達して、購入不動産の所有権移転登記と金融機関の抵当権を同時に設定するケースも結構多いのです。
そうすると、真の所有者ではない者から不動産を購入しても所有権の移転登記はできませんから、当然お金を貸した金融機関の担保されるはずの「抵当権設定」ができなくなります。
金融機関はお金を貸した不動産会社に対し無担保債権が発生します。

お金を借りなければ物件を仕入れることができない会社ですから、金融機関に対し騙されたお金を返済できませんので結果として金融機関が被害を被ることになります。

金融機関は不動産会社に貸金の取立て行為を、不動産会社は詐欺を見抜け無かった司法書士や詐欺グループでない第三者や弁護士への損害賠償請求を行いますから、もう「無茶苦茶」な事態に陥ります。

何故、地面師に騙される?

地面師は昨日今日の出没した話ではなく、過去に幾度も詐欺事件を起こしていますから、不動産会社も金融機関も騙されないよう注意を怠ってはいないのに・・・

でも、幾度もこのような詐欺事件は起こります。

積水ハウスも、取引前から所有者の不審な点が無かったわけではないのです。

たわいもない会話から本人であることを確認していきます。

不動産にまつわる過去の流れから現在に至るまでの状況や、今回売却するに至る経緯等の話をし、さらに、所有者本人の氏名・住所・生年月日・干支等を「すらすらと答えられるか?」という質問は行っていたと報道しています。

本人確認時の質問事項の答えが間違っていたりしてましたが、「年齢のせいだろう」都合の悪い事は見逃してしまったようです。

さらに、地主からの内容証明は「怪文章」として扱ってしまいました。(本当の地主はその頃は、ほぼ意識がなかったとの話がありますから、結果的には怪文章でしたが・・・)

それでも、騙されなかった不動産業者がいたようです。

それは、偽女将が言った「故郷の桜が咲いているのを見たいわ」と言ったことに、改めて調べたら偽者と見抜いたようです。

企業側の心理をうまく利用した、詐欺師の巧みな心理的テクニックと、現在のPC技術により偽造証明証が手軽に作れるようになった事、有資格者(弁護士)や詐欺グループでない第三者を介在させる、公的証明(警察署が発行する遺失物届等)などを利用して騙すなどの手口です。

では企業側の心理とは何でしょうか?

それは、自社の業績を上げたい・他社に案件を取られたくないという思いです。

不動産会社は、「いい物件だから他社に情報が行く前に自社で何とか買いたい」という思いが強ければ強いほど判断基準が甘くなるのです。

金融機関も同様に、いい物件だから貸したいという思いが強くなればなるほど、自分たちの都合の良い判断をしてしまうといえます。

偽造証明証については、技術が進歩して見分けがつかないという事です。したがって所有権移転時に介在する司法書書士も偽造証明証に騙されてしまうことになります。

偽造される証明書とは?

パスポート、免許証、印鑑証明、住民票、戸籍謄本、権利証(登記済証)等です。

所有者に成りすまして、役所に改印届をして新たに印鑑証明を登録する詐欺師もいます。

権利証=所有権登記済証です。(古いものは登記官の手書きの物もあります)

登記所、登記官、年代ごとに証明印の印影を微妙に変えていますので、登記官は騙されることはありませんが、それでも登記されてしまうこともあります。

騙されて登記されても、後日「真の所有者」が登記の無効を申し立てすれば登記は戻ります。

しかし、登記官も騙されて所有権が移転され、更に第三者に引き渡しされてしまうと、真の所有者も被害を受けることになり、騙した地面師の「逃げ得」になってしまいます。

次々と手を変え巧妙になる手口

昔は、巻物のような偽権利証を作ったりしていた地面師もいました。今ではすぐに詐欺とばれてしまうので、近頃では権利証を電車の中で紛失したと偽り、警察に「遺失物の届け」を出して「その届け出証明」で悪用する。

更に、わざと第三者仲介者を介入させてから、第三者仲介者から弁護士を紹介させて、弁護士とともに売買契約に進めることで購入する不動産会社を油断させる手口です。

第三者は、購入者や弁護士との取引関係があり、購入者や弁護士と信頼関係がある事が地面師の狙いです。

(この第三者や弁護士は詐欺に関与していないので、購入者を信用させる「駒」として利用するためにあえて介入させます)

権利証が無いことを公文章でカモフラージュさせて、権利証に代わる「本人確認情報」を司法書士が作成して登記を申請します。

もともと、地面師は権利証を持っていないので、「本人確認情報」を司法書士に作成させるのは計画の一部です。

地面師が狙う不動産物件の特徴

1.都心の一等地で広い不動産物件

2.現在の居住地から離れている、老人が所有している土地や古家付土地(空地・空家)

3.おおむね5億円以上の資産価値のある不動産

4.抵当権、賃借権、地役権、その他の権利設定がない不動産

地面師が嫌がる行為

1.自宅への訪問や近親者への接触

2.根掘り葉掘りの質問や資料の提出

買主が上記の様なことを言い出すと、「信用できないのなら、他社に売却する」と必ず言い出します。

地面師に騙されないようにするにはどうしたらよいのか?

一連の流れで少しでも「おかしい」と思ったら、徹底的に調査すことしかありません・・・

1.自宅に訪問して、家の中に入る。

2.所有者の自宅近隣で「所有者の写真」を見せて本人確認調査をする。

3.近親者、特に法定相続人と会う。

などの調査を行えば、まず騙されることはないと思いますが、「そんなことをするならお宅とは取引しない」と言われても諦められる判断力が必要ではないでしょうか・・・

ブログをここまで読んでいただいた方は、何故地面師の事をそんなに詳しいのか・・・

と感じていませんか?

実は、以前私が金融機関に勤務していた頃、他部署ではありましたが、かなりの大口案件で地面師に騙された事があり、今後騙されない為の対策会議に参加した経験がありました。

その事件も、不動産会社、金融機関、司法書士、仲介会社、弁護士を交えた泥沼の被害でした。

いまだに、その時の地面師は逮捕されていません。

今回の積水ハウス事件は、犯人が逮捕されて良かったのですが、騙されたお金がどの程度戻るのかは知る余地もありません。

業界の皆さん、他人事ではありませんので十分注意して取引してください。

そして、業界全体で「詐欺に関する情報ネットワーク」を共有することができればよいのですが・・・!!

 

代表理事 破平 聖明

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